世の中

教育などについて考えたことを書きます

竹村延和の初期作品

高校時代から始まったヒップホップDJ期、その後のソロやSpiritual Vibesでのブラジリアンジャズ・クラブジャズ期、『こどもと魔法』以降における電子音楽期と、竹村延和のキャリアにおける作風の変化というのは非常に大きいものだった。とはいえ、そういった作風の変化の中でも彼独自の感性、音楽への態度というのは全く変化していないというのが自分の考えである。

彼の初期作品の中でとても印象的なのが、1993年にリリースされたBrownswood Recordsのコンピに収録されているElmという曲だ。自分はこの曲の存在をつい最近まで知らなかったのが、そのせいもあってか、この曲をいちばん最初に耳にしたときは非常に感慨深いものがあった。

いわゆるクラブジャズ時代の竹村の、アルバム『Child's View』への過渡期に位置するともいえるこの曲は、まだまだChild's Viewで実現したような完成度には遠いものの、逆にその未成熟な感触が魅力となっているし、当時の彼が音楽という表現にどれだけの期待を込めていたのか、展望をもっていたのかがリアルに伝わってきて、聴いていて本当に熱いものがこみ上げてくる。また、リズムが3拍子なのも本当に彼らしい。この時代のこういうクラブジャズもので3拍子ってなかなか珍しかったんじゃないだろうか? わからないが、素の状態で作曲すると3拍子になってしまうという彼らしさが表れている。

MULTIDIRECTION

MULTIDIRECTION

 

 1995年にMatadorからリリースされたPizzicato FiveQuickie EPに収録されているMagic Carpet Rideのリミックスもとても好きな作品(アナログ盤にしか入っていない?)。Magic Carpet Rideは誰でも知っているだろう曲だけど、竹村延和はボーカルそのものをガラッと変えてしまっていて、この大胆さには非常に驚かされる。

Quickie Two [12 inch Analog]

Quickie Two [12 inch Analog]

 

 同じく1995年リリースのSoul Bossa Trio『Abstract Truth』に収録されている「Ain't No Sunshine (Child's View Mix)」も当時とても衝撃を受けた作品。竹村延和独特の跳ね上がるビート感が非常に気持ちいい。彼のビート職人としての側面が論じられたことって今まで全く見たことがないが、それについてはとても違和感を感じてしまう。

ABSTRACT TRUTH

ABSTRACT TRUTH

 

 ちょっとはてブが重すぎるので、ここでいったんやめます。